読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【洋書】名作小説「アルジャーノンに花束を」を紹介してみる【多読】

Flowers for Algernon

「アルジャーノンに花束を」の概要

SF小説といえば、この作品を読むまでどうしても宇宙や未来をテーマにした作品のイメージを想定していました。

しかし、「アルジャーノンに花束を」は知的障害をを持った少年が手術によって、
突然知能指数が上がることによって、引き起こされるドラマの数々、
そしてその悲哀を描くものであり、一人称で描かれたいることからもリアル感のあるSF小説ではないかと思います。


当時はこのような手術そのものがSF小説の世界でした。


時代の流れ、そして科学の進歩、そして人間のあり方などを改めて考えさせられる機会になるのではないかと思います。
そんな思いを描く作品です。

作品設定の面白さ

「アルジャーノンに花束を」はチャーリーという知的障害をもった少年が一人称で物語を語っていくという筋書きです。

知的障害をもった状態での言葉にはたどたどしさがあり、
ハツカネズミのアルジャーノンが手術を受けて知的レベルが進化、
それを人間にも適用されたチャーリーが知的レベルが上がりだすと、
その言葉も変わっていくことところが非常にリアリティを持って描かれています。

最終的にはもう一度その知的レベルが落ちていく際にはまた、
言葉がたどたどしくなっていくわけですが、その流れが読んでいて何とも切ない。

チャーリーが知的レベルとともに人間性にも変化が見られるのですが、
本人にとって何が正しいのかを世の中に作者であるダニエルキイスが問いかける作品になっています。

作品が未来に投げかけている奥深さ

歌手氷室京介の同名の楽曲「Flowers for Aljanon」が
ダニエルキイスの小説をベースにつくられています。

人間にとって、人生で何が幸せなのかを考えさせられる作品になっていて
小説と楽曲をどちらも体感してもらうとさらにその奥深さというか、
作品が人間社会に問うているものを理解することが出来ると思います。

今後、人間の科学・医学の進歩で様々なことが実現できるようになりますが、
本当に必要なものは何なのか、何が幸せなのか、倫理観などがさらに重要になってくることになります。

数十年も前からその重要性をダニエルキイスは理解していて、
未来の人間たちに対して問いかけるために作品をつくったのではないでしょうか。

【洋書】トマス・ハリス著「ハンニバル」に見るラブストーリー【ネタバレあり】

Hannibal (Hannibal Lecter)

レクター博士の恋心

「ハンニバル」はトマス・ハリスの小説で、3部作の最終巻です。

これより前の作品「羊たちの沈黙」で初めて出会ったFBIの女性捜査官クラリスと、
連続殺人犯のレクター博士の奇妙な関係は「ハンニバル」でかなり前進することになります。

レクター博士を逮捕しようと追っていたクラリスですが、
小説の最後ではなんとレクター博士と駆け落ちし、結婚してしまうのです。

前作ではそのような結末になるとは予想もつかないのですが、
本作を読み終わってからよく考えると、二人は惹かれあっていたような気がしないこともないのです。

確かにレクター博士がクラリスに嫌みを言ったり、
彼女を追い詰めたりしていたのは、彼女が好きだったからつい意地悪く接してしまっていたようにも思えます。

またクラリスが彼を追うのも、ひょっとして恋心からではとも推測出来、
もしかしてこの作品はサスペンスではなくラブストーリーだったような気さえしてきます。

レクター博士の宿敵ヴァージャーの博士への想い

この物語では、レクター博士が当時精神科医だった頃知り合ったヴァージャーという男が出てきます。

ヴァージャーは昔レクター博士に追い詰められたせいで、
自分で自分の顔の皮膚を剥いでしまい、全身が不自由になってしまいました。

彼はそのことで博士を恨み復讐を計画するのですが、
ヴァージャーはただレクター博士を恨んでいただけではなく、
彼に近い存在であるクラリスに嫉妬するような場面もあり、
博士のことを少し好きだったのではとも思える。

ヴァージャーが博士に対し、尊敬と憎しみの両方の気持ちを抱いていることが分かるようなことが、
小説のいたる所で表現されていて、性的な表現もあるので、
同性愛的な恋愛感情があったようにも読み取ることが出来る。

映画との違いを楽しむ

小説「ハンニバル」は同名の映画となりましたが、
映画ではカットされていたのが、クラリスと博士の結婚という衝撃のエンディングです。

この部分を何故映画にしなかったのかと思う程面白い展開なので、若干もったいないように気もします。

かし、映画を先に見た人は、小説での意外な結末に驚くことが出来、2度美味しい作品となるかもしれません。

また、映画ではヴァージャーの妹の存在もカットされており、
小説ではその妹とバーニー(レクター博士が投獄されていた時の世話係の男)との恋も描かれています。

その妹が精神障害に悩んでいて、バーニーに少し心を開きつつある場面などは、恋愛小説の一節のよう。

「ハンニバル」は、サスペンスとしてはもちろん、そのなかに潜むラブストーリーも同時に楽しめる小説です

映画『オデッセイ』の原作小説「The Martian」を紹介してみる。【洋書多読】

The Martian

映画『オデッセイ』の原作


『The Martian』は、少し前に大ヒットした映画『オデッセイ』の原作となった小説です。
アンディ・ウィアー著、小野田和子訳の上・下巻で日本語版も発売されています。

内容を簡潔にまとめると、宇宙飛行士の主人公マーク・ワトニーはある日、
火星で仲間達に置き去りにされ一人ぼっちになってしまいます。

その後、仲間達に会えるのか、それともこのまま火星で一人ぼっちに死んでいくのか、
その過程を日記形式でワトニーが綴っています。

だから、七割ぐらいは日記形式で書かれていますが、
残りの四割ぐらいは地球での出来事を書いてあるので、普通の小説と同じように書かれています。

近未来的な物語だけど、現実に存在するものの名前も登場していて、本当にありえてもおかしくないような感じの物語です。

内容の注目部分1

この小説は、主人公が空気のない火星で暮らしていく物語なので、
四苦八苦する姿が描かれています。その中で私が面白いなと思った主人公の行動を少し紹介します。


まず、火星で救われる当てがないまま暮らさなくてはいけない。

そのためには食料をどうにか得る必要がありました。

だから、主人公は実験用に持ってきていた、ジャガイモの栽培をすることにします。

栽培をすると言ってもそのための土と水がない。

ということで、土は一緒に実験用に持ってきていたものに火星の土を加えて、即席の畑を作りました。

水は、居住空間にあった水素を爆発させて作ることにします。

しかし、火星という空気がない星での爆発など危険のリスクが高すぎます。

それでも主人公は、いつか救われると信じて、そこまで生きるための食料は必要だ!として、思い切って爆発させます。この先はあまり言いませんが、私はこの勇気に感動しました。

内容の注目部分2

先ほどに続き、もう一つ紹介します。
こちらは主人公の行動ではなく、その主人公を取り囲む人々の話です。

主人公が生きていると知った後の地球のNASAなどの人々は、どうやって主人公を火星まで迎えにいき、
連れて帰るかを必死に考えるようになります。


睡眠時間もろくに取らず、施設に泊まりがけでみんなで必死に人工衛星の軌道を考えたり、
迎えにいくための燃料エンジンについて考えたりと、
大忙しで次の打ち上げをそっちのけでやっている姿にはもう感心というほかありませんでした。

また、最後の展開には涙が出るような感じで映画で見るのとはまた違った良さがありました。

あまり宇宙関係の知識がない方でも楽しめる作品になっていると思います。

是非読んで見ることをオススメします!

洋書「Primal Fear 」で感じる人間の二面性。【邦題】真実の行方

Primal Fear (English Edition)

悪役にしか見えない主人公

1993年に出版された小説で、司祭が何者かによって殺害されたという、
事件をめぐるストーリーなのですが、ただのサスペンスや刑事ものではなく、
人の猟奇的な一面をよく描いたものなのです。

この事件の容疑者として逮捕されたのは、教会で司祭の手伝いをしていたアーロンという少年でした。

その事件に目を付けた主人公の弁護士マーティンは、アーロンの弁護人として立候補します。

小説の前半ではマーティンの腹黒さがとにかく強調されています。

何としてでも裁判に勝ちたいという彼の思いは、自身のプライドを守るためであり、
決して依頼人を守るためではないということが描かれています。

また、この裁判でのマーティンの敵となる警察側の弁護士にはマーティンの元恋人ローラがついていて、元恋人を負かすためにも、マーティンはあの手この手を使ってアーロンの無罪を主張するのです。その様子がずる賢く、まるでマーティンが悪役のようにも見えます

主人公に正義感が芽生える

この裁判の難しさは、アーロンがとても人を殺しそうには見えない弱々しい少年であるにもかかわらず、
彼が容疑者としか言いようが無い証拠が残っているということです。

マーティンもさすがにアーロンの秘密が気になり始め、
アーロンを問い詰めます。すると、動揺したアーロンの態度は急変し、突然凶暴になるのです。

そこで読者はようやくアーロンが多重人格者であることを知ります。

つまり、凶暴な人格の時のアーロンが殺人を犯し、弱い人格の彼はそれを覚えていないのです。

この状況にマーティンは裁判に勝つ方法として、
裁判の最中に凶暴なアーロンを引き出し、彼の多重人格症の病を全員に見せつけるという荒業に出ます。

そうまでして裁判で勝利したいマーティンですが、
物語の後半ではマーティンの目的は自らのプライドを守るためではなく、
司祭から性的虐待を受け(物語の中盤でアーロンが司祭から虐待される様子が映ったビデオが見つかります)、
精神病になってしまい、貧しく行く場所もないアーロンという少年を助けたいという、
正義感で弁護をしているように見えてきます。

読者と主人公の期待を裏切るラスト


裁判に勝利するマーティンですが、
アーロンが自分の人格が凶暴になっている時のことを記憶しているような発言をします。

おかしいと気づいたマーティンに、アーロンは衝撃の事実を告げます。

この小説で描かれる人間の二面性に、読む人は驚かされる。

たまにamazonKindle Unlimited の対象になっていたりするので是非。

生命倫理をテーマにした洋書「My Sister's Keeper」を紹介してみる(邦訳)私の中のあなた

My Sister's Keeper

デザイニングベイビー

『私の中のあなた』(原題”My Sister's Keeper”)は、
着床前診断と臓器提供を題材にしたジョディ・ピコーの話題作です。

幼い頃から白血病を患うケイトは、病気の治療のためにドナーを必要としますが、
家族である両親も兄もドナー不適合でした。

そこで両親が決断したのは、ケイトHLA型とがマッチした子供を着床前診断によって作る事。

具体的には、ドナーに適合する遺伝子を、受精卵の段階で選別し、
体外受精で妊娠すること。つまり、ドナーを「デザイン」したのです。

こうして生まれたのが妹のアナでした。
ストーリーはアナが両親を告訴するために、弁護士の元を訪れる所からスタートします。

衝撃的な家族背景もさることながら、
ティーネージャーであるアナが両親を訴えるという、序盤からスピーディーな展開なのです。

家族の葛藤


本書では重病に纏わる家族の葛藤が生々しく鮮明に描かれています。

重い病に蝕まれ、入退院や手術を繰り返し、普通の子供時代・青春時代を病気に奪われたケイト。

そしてケイトを支える両親の不安な心境。ドナーとして幼い頃から手術を強いられ、
自分の存在意義を自問自答するアナ。そしてドナーにはなれず、家族の中で孤独感を深める兄のジェシー

病気の子供とそれを支える家族、という一言では片づけられない、
各々の苦しみが、生々しく描かれています。

ケイト中心の家族の在り方に反発するアナとジェシーの姿もまた、読者に病気の苦しさを訴えるものがあります。

そして裁判を起こしたアナの真意が分からず、家族は混乱の渦に陥ります。

アナがドナーにならなければ、ケイトは生きられない。この大前提が、アナの訴えによって覆ろうとしているのです。

アナの真意、そして衝撃の結末・・・。

なぜアナは裁判を起こしたのか
その発端となった人物が終盤で明かされ、ストーリーは衝撃的な展開を迎えます。

アナはどうするのか?

ケイトはどうなってしまうのか?

「臓器を提供する・しない」の単純な問いでは解き明かせない、衝撃の結末が待っています。

本書は着床前診断という難解なテーマを扱いながらも、
難病患者の日常の描写がリアルで、真に迫るものがあります。

デザイニングベイビーや、臓器提供は許されるのか。

その問いに様々な角度から答えを探す問題作です。

「大切な人に生きながらえて欲しい」という、人としてごく当たり前の願いには同意せざるを得ませんが・・・。

果たして同じ立場に立った時、自分ならどう判断して何を信じるべきか、考えさせられる作品です。

【洋書】英語で読む小説「ダヴィンチコード」を紹介してみる

The Da Vinci Code

ダンブラウンのすごさについて

僕がはじめて、ダヴィンチコードを読んでからかなりの年数がたちますが、
天使と悪魔、ロストシンボル、インフェルノとすべてのシリーズを読破しています。

もちろん、そのストーリーが面白いことがなによりも魅力ですが、
和訳してある日本発売の書籍でも実に簡単にその世界観が伝わってくるのが素晴らしいです。

ダンブラウンのロバートラングトンシリーズを読み続けているけど、
すべての作品において、女王下巻をあっというまに読み終わってしまうほどの魅力です。

洋書、とくにこうしたアドベンチャーやミステリーなどは長編が多いのですが、
このシリーズほど読む前にわくわく感を感じ、かつ読み終わるのが早い作品は過去にはなかったような気がします。

ロバートラングトンと映画のトムハンクス

このシリーズの主人公はロバートラングトンという歴史学者。

それも研究室にこもるのではなく、世界中を飛び回り、
現在に過去の秘密、極秘事項、歴史に閉ざされた世界を明らかにすることを喜びを覚えています。

そして、小説の中に出てくるこのロバートラングトンが、
今や映画シリーズでも主人公を張っているトムハンクスと、
作品を読むたびにシンクロするほど非常にマッチしていることに驚かされます。

わたしのよに洋書から入って、映画も見た場合でも映画から入って、
洋書を読んだ場合のいずれにおいてもこのシリーズに関しては違和感を感じることがないのではないでしょうか。

どうしても小説の世界観と実写版の世界観に違和感がある作品が多い中、特筆すべき点だと思います。

リアルな歴史、または謎解きが何よりも魅力

ダヴィンチコードでは主にレオナルドダヴィンチとキリスト教という、
世界観からだれもが驚くような仕掛けを小説の中で解いていくストーリーになっています。

ミステリーであり、アドベンチャーでもあると思います。

初めて読んだ際にこの描かれている世界観が正直、
どこまでがフィクションでどこからがノンフィクションなのかわからないほど、
のめりこんでしまったことを今でも覚えてる。

ソシテ、コノロバートラングトンシリーズは少しずつテーマが異なっても、
すべてが同じようにフィクションとノンフィクションがわからないくらいにのめりこむストーリー、
そしてしかけが至る所に施されています。まずは、このダヴィンチコードを読み、その魅力を体感してください。