【洋書】名作小説「アルジャーノンに花束を」を紹介してみる【多読】

Flowers for Algernon

「アルジャーノンに花束を」の概要

SF小説といえば、この作品を読むまでどうしても宇宙や未来をテーマにした作品のイメージを想定していました。

しかし、「アルジャーノンに花束を」は知的障害をを持った少年が手術によって、
突然知能指数が上がることによって、引き起こされるドラマの数々、
そしてその悲哀を描くものであり、一人称で描かれたいることからもリアル感のあるSF小説ではないかと思います。


当時はこのような手術そのものがSF小説の世界でした。


時代の流れ、そして科学の進歩、そして人間のあり方などを改めて考えさせられる機会になるのではないかと思います。
そんな思いを描く作品です。

作品設定の面白さ

「アルジャーノンに花束を」はチャーリーという知的障害をもった少年が一人称で物語を語っていくという筋書きです。

知的障害をもった状態での言葉にはたどたどしさがあり、
ハツカネズミのアルジャーノンが手術を受けて知的レベルが進化、
それを人間にも適用されたチャーリーが知的レベルが上がりだすと、
その言葉も変わっていくことところが非常にリアリティを持って描かれています。

最終的にはもう一度その知的レベルが落ちていく際にはまた、
言葉がたどたどしくなっていくわけですが、その流れが読んでいて何とも切ない。

チャーリーが知的レベルとともに人間性にも変化が見られるのですが、
本人にとって何が正しいのかを世の中に作者であるダニエルキイスが問いかける作品になっています。

作品が未来に投げかけている奥深さ

歌手氷室京介の同名の楽曲「Flowers for Aljanon」が
ダニエルキイスの小説をベースにつくられています。

人間にとって、人生で何が幸せなのかを考えさせられる作品になっていて
小説と楽曲をどちらも体感してもらうとさらにその奥深さというか、
作品が人間社会に問うているものを理解することが出来ると思います。

今後、人間の科学・医学の進歩で様々なことが実現できるようになりますが、
本当に必要なものは何なのか、何が幸せなのか、倫理観などがさらに重要になってくることになります。

数十年も前からその重要性をダニエルキイスは理解していて、
未来の人間たちに対して問いかけるために作品をつくったのではないでしょうか。